低予算なのに面白いと話題の「カメラを止めるな」という映画で著作権侵害の問題が発生しているという報道がありましたが、製作会社や監督の上田慎一郎さんから反論が出てきています。

著作権侵害というのは非常にわかりにくい、判断が難しいケースが多いようなので、案の定というのでしょうか、泥仕合と化してきています。

製作側の反論が画像での発表だったので、全文文字起こししてみました。
またFLASHの続報で製作会社と原案者との交渉の様子がわかってきました。

その上で、わかりやすく、お互いの主張や経緯を整理してみました。
一体何が問題で落とし所はどのあたりなのでしょう。

 

早速行ってみましょう。

パクリ疑惑の報道

週刊FLASHの2018年9月4日号にこのパクリ疑惑の記事が掲載されています。

「弁護士に、双方の作品を見比べてもらったうえで相談したところ、類似点の多さや、Aの脚本をもとに書き直したものであるのに原作の表記がないこと、原作者である僕やAの許諾を取らなかったことなどから『これは著作権の侵害だ』と。現在、訴訟の準備を進めています」(和田氏)
出典:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180821-00010001-flash-peo

この和田氏というのが「GHOST IN THE BOX!!」の原案者である和田亮一さんです。
和田亮一さんはこの「GHOST IN THE BOX!!」を上演した劇団PEACEの主宰者でもあります。
劇団PEACEは2011年から2014年まで活動をおこなっていたそうです。

和田亮一さんは「GHOST IN THE BOX!!」では演出も担当していました。

A氏という方は脚本を担当していた荒木駿さんと思われます。

「GHOST IN THE BOX!!」の初演は2011年だそうです。
当時の情報がまだ残っています。
https://stage.corich.jp/stage/28989

確かに脚本:荒木駿 演出:和田亮一とクレジットがありますね。

この舞台が好評で2013年に再演もされたそうです。

ただ小劇団の舞台ということも有り、上演したのは上野ストアハウスとう小さな劇場でした。

そのためこのお芝居を見たという人も実際には少ないかもしれないですね。

2013年に再演された際も同じ上野ストアハウスでの上演となりました。
この再演じに「カメラを止めるな」の上田監督も観劇されたそうです。

こちらのインタビュー記事でもこの「GHOST IN THE BOX!」を見て映画化をおこなったとご自身でコメントされていますね。

上田監督:5年前に、劇団PEACE(2014年解散)の「GHOST IN THE BOX!」という舞台を観まして、物語の構造がすごく面白いなと思ったんです。この舞台を原案にして映画化したいと思い、最初はその舞台の脚本家や出演者の方と一緒に企画を進めていたんですがなかなか前に進まず一旦企画は頓挫。2年ほど前にとあるコンペに出すのをきっかけにまたこの企画を引っ張り出して、基本的な構造以外は登場人物も展開も丸ごと変えて、新たな作品としてプロットを固めていきました。
出典:http://news.nicovideo.jp/watch/nw3708616

しかしながら映画を作る過程で、荒木さんや吉田さんへ許諾を取るということがなかったというんです。

「上田監督からは事後報告の形で『名前を入れました』と連絡がありました。しかし、脚本を書き直して映画化する過程で、許諾を取る類いの連絡はありませんでした。公開されたいま思うと、原作として和田さんと私のクレジットがないのは疑問に思います」
出典:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180821-00010001-flash-peo

製作側の反論

週刊FLASHの報道では製作側の反論として以下のような回答があったということでした。

「弊社といたしまして、本映画において舞台(『GHOST』)に対する著作権侵害がなされている認識はございません。
 また、本映画のクレジット表記方法をはじめ、本映画の製作、上映にあたり、確認・協議すべき事項についても舞台の関係者の方々と都度協議をし、ご納得いただいております。
 また、そのほかの条件や今後の対応に関する協議についても、現在、舞台の関係者の方々と進めさせていただいております」

出典:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180821-00010001-flash-peo

つまり
・著作権侵害はない
・舞台の関係者と都度協議をして納得している
ということです。

そして8月21日に再度製作会社および上田慎一郎監督からコメントがありました。

製作会社はENBUゼミナールという会社です。
この会社名で「カメラを止めるな」の公式サイトで意見が述べられています。

出展:http://kametome.net/news.html

この度、8月21日発売の「FLASH」9月4日号に、「独占スクープ 大ヒット映画をめぐる著作権侵害疑惑『カメラを止めるな!』は私の作品を無断でパクった」と題する記事 (以下「本記事」といいます)が掲載されましたが、本記事の内容は不正確なものです。

本記事にも指摘がありますように、「カメラを止めるな!」(以下「本映画」といいま す)は、舞台「GHOST IN THE BOX!」(以下「本舞台」といいます)より着想を得て企画・製作したという経緯がありました。

そのため、当方としましては、本舞台に敬意を表す意味で、本映画を8月3日より拡大上映する際に、本舞台関係者の方々に対し、そのクレジットとして「原案:劇団 PEACE 『GHOST IN THE BOX!』」という表記をご提案させていただきました。

「もっとも、その一方で、本映画は上田監督自身による脚本、監督、編集というように、本舞台とは独自の形で製作を進め、ストーリーは本舞台と全く別物である上、脚本の内容も異なるものですから、本映画について、本記事の見出しに掲載されているような、法的に「著作権侵害」が生じていたり、本舞台を「パクった」といった事実は一切ございません。

また、当方としましては、本舞台関係者の方々と都度協議を行っており、クレジットを含めたその他の条件や今後の対応についても協議を進めようとしていたところでした。

それにもかかわらず、このような「著作権侵害」や「パクった」といったようなセンセーショナルな見出しや、未だ確定してもいない本舞台関係者との協議過程の内容を含む記事が掲載されたことに強く憤りを感じます。

本記事の掲載により、本映画のファンの皆様、関係者の皆様には、ご心配・ご迷惑をおかけすることになり、心よりお詫び申し上げます。

以上

という形で、著作権侵害について真っ向から否定をしています。
要点を書き出しますと

・映画のストーリーも脚本もオリジナル
・著作権侵害はない

ということです。

ではなぜ映画のクレジット表記をおこなっているのかという点については
・「カメラを止めるな」は着想は「GHOST IN THE BOX!」から得ている
・そのため敬意を表しておこなった
ということです。

原作ではないが、着想を得ているため「敬意を表して」クレジット表記をおこなったのだという主張です。

なんとも微妙な言い回しですよね。

上田慎一郎監督のコメントはどうでしょうか?
上田慎一郎監督自身がtwitterで今回の著作権侵害の問題に関してコメントを出しています。

・上田慎一郎監督自身も映画はオリジナル作品だと思っている

ということです。

ただし
・劇団の方の主張にもしっかり耳を傾け、お互い円満な解決をしたい
と大人の対応を見せています。

次のページでは、上田慎一郎さんが着想をえた演劇の主宰者である和田亮一さんと製作会社との交渉の経緯などをご紹介。
読めばなんとなくわかると思いますが、これ製作会社が問題なんじゃないのという感じです。