聞き取り調査の報告詳細
聞き取り調査の報告詳細が公開されたようです。
今回の日本レスリング協会の対応は速やかに行われていて良いですね。
内容は以下のとおりです。
「<パワハラと認定した事実>
▽2010年2月の合宿で、女子強化委員長だった栄氏は東京へ練習拠点を移した伊調選手を部屋に呼び、「よく俺の前でレスリングできるな」と言った。弟子が離れていったことに対する逆恨みにも似た心情としか解釈できない。
▽伊調選手は、10年アジア大会(中国・広州)の選考基準を満たしたが、別の選手が代表になった。協会は伊調選手に十分な説明も行っておらず、伊調選手も納得していない。選考過程が不明確で、伊調選手を選考から排斥する行為と解釈すべきだ。
▽10年9月の世界選手権(モスクワ)の際、宿泊先で、栄氏が男子フリースタイルのコーチだった田南部氏に「伊調選手の指導をするな」と言った。栄氏は女子フリースタイルを統括する指導者として実績を重ね、男子チームに対しても事実上の影響力を持つ立場にあった。栄氏の優位な立場を背景としており、不適切な発言。
▽15年2月に行われた男女合同合宿中、協会の指示で別のコーチと2人で京都に指導に出向いた田南部氏に対し、栄氏が外出を叱責。さらに伊調選手の指導に話を移し、「目障りだ。出て行け」と罵倒した。栄氏は別のコーチには何も言わなかった。」
出典:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180406-00000122-mai-spo
やはり、伊調馨選手や田南部コーチに不当な圧力を栄監督がおこなっていたと言わざるをえない複数のことがあったようですね。
おそらくここに記載の内容以外にも細かな問題もあるのではないかと思います。
「弟子が離れていったことに対する逆恨み」
という言葉が、今回の問題の本質的な部分ではないかと思います。
そして伊調馨選手からも正式なコメント発表がALSOKを通じてあったということです。
「「本日、日本レスリング協会が第三者委員会による調査結果について公表しましたが、まだ内閣府の調査が続いておりますので、最終的にはその調査結果を待ちたいと思います」とした上で、「日本レスリング協会がアスリートファーストの確立に尽力されることを信じており、私も協力してまいります」とつづった。
また、「あらためて応援してくださっている皆さまに感謝申し上げます」と結んだ。」
出典:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180406-00000161-dal-spo
そして、日本レスリング協会は栄和人さんの強化本部長辞任を発表しました。
告発の結果がはっきりと伊調馨選手たちの言い分が通った内容で、日本レスリング協会も態度を改めざるを得ない状況になったようです。
では、今後の対応はどのようなものになるのでしょう。
今後の展開はどうなるのか
パワハラ行為が事実であったわけですが、では今後はどういう展開になるのでしょうか?
まず大前提として、伊調馨選手が一刻も早く東京オリンピックに向けて本格的な練習を再開できるようにすることが先決ですよね。
もともと告発の経緯もそこが出発点だったはずです。
「栄和人監督からのパワハラ行為があり、伊調馨選手がまともな練習ができていない」
という告発であったわけです。
なので、まずは伊調馨選手の思いを優先することが大事だと考えます。
ただその場合、伊調馨選手を特別扱いするということが問題となりそうです。なぜあいつだけそんな優遇されるのだ、何様のつもりだと被害者が非難を浴びるような構図がこのような問題ではありがちです。
また喧嘩両成敗的な解決方法が取られることもありますよね。
伊調馨選手にとってベストな練習環境は、田南部力コーチが復帰し、その田南部コーチのもとで男子と一緒に練習ができるようになることだと思うのですが、栄監督だけを処罰の対象にするとバランスが悪いということで、田南部力コーチの復帰を認めないような流れができてしまうというケースです。
これは本来伊調馨選手のための告発だった問題が、日本レスリング協会内部のパワーバランスの問題にすり替わってしまっていますよね。
このような解決方法が取られると今回の告発はなんだったのだということになりかねません。
まずは、伊調馨選手の練習環境の確保、そして、告発側の伊調馨選手が非難を浴びることがないような配慮、このあたりを慎重にかつ迅速に行う必要がありそうです。
登場人物整理
今回の騒動ですが、はじめは伊調馨選手と栄監督の問題だけだったのが、さまざまな人物が登場したことでかなり複雑な話になってしまいました。
中でも至学館学長の谷岡郁子さんがtwitter、記者会見や卒業式で失言をたくさんしてしまうので、マスコミの格好の餌食になっていました。
ある意味、谷岡郁子さんのせいでここまで話がこじれたといっても過言ではありません。
■日本レスリング協会側
栄和人(57)
・鹿児島商工高等学校(現樟南高等学校)、日本体育大学体育学部体育学科卒業
・日本の元レスリング選手で、現在は至学館大学(旧・中京女子大学)レスリング部の監督と全日本女子レスリングヘッドコーチを兼任。
・日本女子レスリングのオリンピックでの活躍の立役者
谷岡郁子(63)
・栄監督を招聘した至学館大学の学長
・日本レスリング協会の副会長職
・告発があったときに、栄監督は良い人だからパワハラとかしないと真っ向から否定
・栄監督や至学館に非難が集中すると記者会見を開いて「伊調馨選手は選手なのか?」という発言で大炎上
・至学館卒業式で「ねじ曲げられている。こういうことがいっぱいある。これこそメディアによるパワーハラスメントだと思います」と卒業式と関係ない式辞をのべて大炎上
■告発者
田南部力コーチ(42)
・北海道岩見沢農業高校、日本体育大学卒業。
・アテネオリンピックフリースタイル55キロ級銅メダル
・全日本チームのコーチをしていたが現在はコーチはしていない(外された?)
・警視庁勤務
・伊調馨さんや自分への圧力が相当あったと告発
安達巧さん(51)
・元レスリングの選手、バルセロナ五輪代表。
・鹿児島商工高校(現・樟南高校)から日体大を経て協会のナショナルコーチなどを務めた。
・栄監督にとっては高校、大学の後輩
・栄監督と代表の座を争っていたライバル関係
・田南部力さんからパワハラに関して相談を受けていた
・女子レスリングの現状が至学館が優先されていることを告発
詳細はこちらの記事を御覧ください。
栄和人(文春パワハラ告発)真相・原因は?伊調馨正式コメントと食い違う言い分。
栄監督パワハラ問題、レスリング協会の対応・体質に批判殺到で炎上
問題の背景となった話
今回の問題となった「真実」とは別に様々な憶測が飛び交いました。
・栄監督は過去に2度も自分の教え子に手を出しているので、今回も伊調馨選手に手をだしたのではないか?というセクハラ疑惑
・栄監督の娘が伊調馨選手と同じ階級だったため、伊調馨選手を代表から追いやった疑惑
・安達巧さんと栄監督による過去の因縁説
栄監督は現役時代に
日体大の後輩で優勝を争う事になった安達選手との試合の時
安達選手が腕を取って投げる一本背負いが得意技だったので、その技に掛からないように汗をかいたらツルツルに滑るニベアを腕に塗り試合に臨み、まさかここまでするとはと周囲に大顰蹙を買うアンフェアの代表格な人だった。— チャッコ (@yZ7sZLsZF55Sgp9) 2018年3月1日
高校、大学の後輩で、さらに過去に試合でなんか卑怯な手をつかっている栄監督とは因縁の仲なので、さまざまな憶測が浮かんでしまいました。
それ以外にも
・田南部力コーチと伊調馨選手の恋愛説
・伊調馨選手の従兄弟がパワハラ問題で一儲けをたくらんでいる説
・栄監督が他の選手にセクハラもしていた
・栄監督が大会の賞金の上前をはねていた
というような噂や想像による憶測のようなニュースが飛び交いました。
現状は、こういったニュースが報道されることで、本来の告発の意味が曖昧になり、着地点が見えにくくなってしまっているように思えます。
それもやはり日本レスリング協会がこの問題に関しての初動をあやまったとこと(調査を行わずに否定をしてしまった)と、問題の収束、事実の把握に時間がかかりすぎていることが原因ですよね。
栄監督は、週刊文書が描いているような人物ではないと、私は保証します。口下手で不器用な熱血漢。欠点もあるし、誤解されやすいけど、選手が大事で陰湿ではない。だから、私が創ったレスリング部を二十数年任せてきた。
— 谷岡クニコ (@sgkkuniko) 2018年2月28日
陰湿なパワハラ体質が中心にあって、沙保里はじめこれだけの強くも明るく、爽やかなチャンピオンたちが育つと思いますか?栄監督の指揮の下、高校生、大学生でこの9年余、退部者は1人もいません。事実が人間性の証明。
— 谷岡クニコ (@sgkkuniko) 2018年2月28日
長期化すればするほど、余計な情報が入ってきてしまうので、この先の対応については
・すぐに調査報告を公表すること
・すぐに伊調馨選手への練習場所を提供すること
・すぐに協会のガバナンスをクリアにすること
が必要ではないでしょうか?
ここまで後手後手に回っていた日本レスリング協会の今後の対応に注目したいですね。
最後に
ようやく認定されたパワハラ問題。
日本レスリング協会の今後の対応に注目したいですが、以前、須藤元気さんが指摘されていたように、日本レスリングが今回の騒動で弱体化してしまうと海外の選手が喜ぶだけの結果になってしまいます。
当然、東京オリンピックでのメダルの可能性もどんどん下がってしまうでしょう。
結果がこのようにはっきり出たわけなので、このあと日本レスリング協会は話を有耶無耶にせず、真摯に受け止めて、対応を急ぎ進めて欲しいところです。
そして何より、この笑顔をまたみたいですよね。
最後までご覧いただき本当にありがとうございました。
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