原油価格が急落しているのをご存知ですか?

コロナウィルスで世界中でロックダウンが行われている状況で、原油の需要が圧倒的に減っているんです。

その影響で原油価格が急落しているわけなのですが、その下落幅がえげつないんです。コロナの影響がまだでていない今年の1月の価格は

1バレル60ドル

くらいだったものが、現在なんと

1バレル12ドル

という状況なんですよね。

なんと5分の1ですよ。

こういった状況で、アフターコロナを睨んで、原油価格が急騰するのではないかと考えた投資家も多そうですが、実際に原油に投資ってできるのでしょうか??

もしいま原油を買って、またもとの価格帯に戻ったら5倍になるの!!100万円が500万円!!

そんな期待をしてしまいますよね。

また原油投資にはどんなリスクがあるのでしょうか?

原油に関する情報をまとめてみました。

 

早速行ってみましょう。

原油価格の急落の原因は需要減

今回のコロナ騒動で注目を集めているのが、原油価格の急落です。

コロナ騒動前の世界では、1日に消費される原油の量は

約1億バレル

だったそうです。

ですが、現在その需要は急激に減っていて、なんと

7000万バレル

くらい。

3000万バレルの需要が奪われてしまったそうです。

飛行機は飛ばないし、車は走ってないし、工場も商店も営業してないわけですから、たしかに原油使わなそうだなぁというイメージはありますよね。

そして、この需要減こそが今回の原油価格急落の主な原因と言われています。

原油需要が減ったため、在庫がだぶつき価格が下がっているということですね。

ただ原油ってOPECとかいう団体が世界的なカルテルを結んで生産調整したりして価格調整をしているって、中学生の時に習ったような気がするんですが、そういった
取り組みはおこなわれていないんでしょうか?

サウジとロシアが減産協調できず急落

実は、現在でもOPECという組織があるんです。

日本語に訳すと石油輸出国機構。

現在の加盟国は13カ国あります。

イラク
イラン
クウェート
サウジアラビア
ベネズエラ
リビア
アラブ首長国連邦
アルジェリア
ナイジェリア
アンゴラ
ガボン
ギニア
コンゴ共和国

見て分かる通りこちら中東を中心とした国々ですよね。

ですが現在の産油国は採掘技術の進化にともない、多くの国に広がっています。

そこでOPEC以外の国々とも原油生産について話し合うための枠組みがあります。

それがOPEC+(OPECプラス)です。

ロシアやメキシコ、カザフスタンやオマーンといった10カ国の国々とOPECをあわせた組織になります。

これらの国々の多くが原油を国営企業が運営しているため、国のエネルギー担当相が中心となり、世界各国と強調して原油の生産について話し合っているわけです。

たとえば今回の急落の前にはOPECプラスで強調して減産がおこなわれていました。


出典:http://ieei.or.jp/2019/09/expl190905/

この図でわかるように、世界でおこるいろいろな問題(政変や戦争など)で原油価格は上げ下げしていますが、その都度、OPECプラスなどで話し合いが持たれ、価格のコントロールをしているのがわかります。

では今回の急落では何が起きたのかというと、この2019年7月に9ヶ月延長するとした減産協調が、2020年3月に延長されなかったのです!!

2020年3月というともう世界各地でコロナウィルスが蔓延をはじめていて、これから原油の需要は急激に下がるだろうという見通しがあったにも関わらずです。。。

そんな馬鹿な!!

ということが、起きてしまったのです。

2020年3月に行われたOPECプラスの会合で、サウジアラビアが今後の原油の需要減に対応するため、さらなる追加減産を各国に要望しました。

するとこの提案をロシアが受け入れなかったのです。

様々な説がありますが、ロシアではこれ以上の原油の減産はシステム上の問題で対応ができないという理由があったとも言われています。

ロシアの採掘技術では、減産をしすぎるとパイプが詰まってしまって再稼働ができなくなるという説ですね。

しかしこのロシアの対応に関して、サウジアラビアがブチギレてしまいます。

なんと各国が減産しないなら、サウジアラビアは増産するって言い始めたんです。

そんなアホな!!

ということが、起きてしまったのです。

そして本当にサウジアラビアは増産を開始します。

サウジアラビアは国営企業のアラムコという会社が原油を生産、販売しているのですが、そのアラムコが増産した原油をさらに大安売りでたたき売りしはじめたんです。

サウジアラビアが増産した理由

これは世界中から非難を浴びますが、サウジアラビアはなぜそのようなことをしてしまったのでしょうか?

案の定、原油価格は急落に次ぐ急落を重ね、60ドル台だった原油価格は20ドル前半まで落ちてしまいました。

実はサウジアラビアは現在世継問題で荒れていて、次の国王有力候補である皇太子が絶対の権力を持っている状況です。

そのためその皇太子の考えでこういったおかしな政策が実行されてしまうような状況なのです。

つまり皇太子がブチ切れたんでしょうね。

というのも、世界的に今までのこういった原油の価格を平準化するための減産の取り組みは、サウジアラビアが中心になって取り組んでいたんです。

確か各国も取り組んでいることはいるのですが、中には減産をするといってこっそり増産するような国もありました。

ロシアなどはそう思われています。

こういったときに、実はサウジアラビアが他の国の分も率先して肩代わり減産をしていたんです。

そしてもうひとつ皇太子がブチ切れる理由があります。

実は世界で一番の産油国は実は

アメリカ

なんです。

このアメリカがいままでにこういった減産協調の取り組みに参加していないんですね。

サウジアラビアが身銭を切って減産をすることで、原油価格が高値で取引され、結果アメリカやロシアが得をするというような状況が原油の世界ではずっと続いていたのです。

こういった事情からサウジアラビアはお前らがその気なら、俺らの言うこと聞かないなら、原油市場を一度ぶち壊してやると思ったとしても不思議ではないですよね。

産油国の採掘原価

こういったサウジアラビアの行動は実は原油の世界では多くの関係者がある意図があると考えています。

それはアメリカのシェール企業潰しです。

先程ご説明したように、現在の産油国ナンバーワンはアメリカなんです。

アメリカではシェールオイルという原油が日量で1200万バレル以上産出されているんです。

このシェールオイルの採掘は2000年代初頭から行われていて、徐々に技術革新がすすみ、産油量のアップ、コストの低減が行われている状況です。

そしてアメリカ国内の需要を満たすだけでなく、輸出も行われている状況です。

このシェールオイルですが、すべて民間企業がおこなっています。

小さい会社からエクソンモービルのような大きな会社まで大小様々な会社がシェールオイルの採掘をおこなっているということです。

現在の平均的な採掘コストは40ドルくらいだと言われています。

つまり40ドルを下回るような原油価格ではシェールオイルの採掘をおこなう企業の多くはやっていけないわけです。

しかも民間企業なので、他の産油国の国営企業とは懐事情が違います。

国営企業であれば国の支援を受けて収支が合わなくても生産は続けられますが、民間企業ですと銀行などの融資が止まってしまえばそれまでですからね。

つまりサウジアラビアが今回増産や低価格での大安売りでシェールオイル企業を立ちいかなくさせて潰してしまおうと考えたのではないかという陰謀論がまことしやかに原油業界では流れていました。

実際にアメリカでは中規模のシェール企業が破産申請をおこなうようなことも出てきています。

ですがこの陰謀論に否を唱える説もあります。

というのもシェール企業ですが、潰れても原油価格があがるとまたすぐに新しい企業がでてきて採掘をはじめるのです。

過去に一度同じように原油価格が低迷してシェール企業の多くが操業を停止した時期がありました。

2014年まつから2015年初頭にかけてです。

このときシェール企業のWBHエナジーが倒産に追い込まれるなど、多くのシェール企業に影響がでました。

ですが、その後原油価格が上がり始めると、またシェール企業が増えはじめ、現在では世界でナンバーワンの産油国にまでなってしまったという状況なのです。

最後に

今回、最近価格の急落で話題になっている原油について、主になぜ急落してしまったのかについて調べてみました。

急落したということは、急上昇もあるんじゃないかと俄然興味を持っている方も多いと思います。

ですが中国ではこの原油投資で個人投資家が大きな損失を被っているそうです。

安易に飛びつくと大怪我をしてしまうなんてこともありそうなので注意が必要ですね。

こちらについてはまた調べてみたいと思います。

原油についてはシリーズでお伝えしています。
こちらもぜひご一読ください。
世界の原油需要の低下と今後の見通しは?原油需要の内訳や消費国ランキング

 

最後までご覧いただき本当にありがとうございました。

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