自衛隊のイラク派遣の際の活動記録(日報)435日分の全文書が防衛庁により公開されました。
その内容が非常に面白くほのぼのした内容が多いです。
そのため、これ日報ではなく随筆じゃないか、ブログかよ!と大評判になっています。
バグダットでの日々の暮らし、平和の尊さを噛みしめるような文章や、バグダットでの暮らしぶりがわかるような文章などある意味人間臭い文章が多く読んでいて飽きません。
当初は日報はなくなったという説明でしたが、内容を読むと、これ公開するの恥ずかしかったんじゃないの?と思えるような文章が多いんですよね。
ただ原文がパワーポイントをPDFにしたものなので、非常に読みづらいと思ったのでいくつか書き越こしてみました。
まだ15日分ですが随時書き起こしていこうと思います。目指せ全文。
早速行ってみましょう。
目次(コンテンツ)↓↓
- バグダッド日誌(7月10日
- バグダッド日誌(3月14日)
- バグダッド日誌(5月29日)
- バグダッド日誌(5月30日)
- バグダッド日誌(6月2日)
- バグダッド日誌(6月6日)
- バグダッド日誌(6月18日)
- バグダッド日誌(6月19日)
- バグダッド日誌(6月23日)
- バグダッド日誌(6月28日)
- バグダッド日誌(6月30日)
- バグダッド日誌(7月2日)
- バグダッド日誌(7月4日)
- バグダッド日誌(7月8日)
- バグダッド日誌(7月18日)
Contents(目次)
バグダッド日誌(7月10日)
まずはこちらの文章からお届けしたい。
語学が苦手な自衛官が現場で頑張っている姿を微笑ましく描いた作品(?)です。
微笑ましくもあり、あり得ない内容が逆に現場のリアルさを描いているような気がしますね。
バグダッド日誌(7月10日)
・金さんの次??
英語で苦労していた●●●の調整能力は最終段階を迎え益々「冴え」を見せている。
交通事故対応の際、イラク国内における米軍病院の医療レベル(レベル4が最も難しい医療を提供でき、数字が下がるほど質が落ちる。)を入手してきたり、会議準備をさせれば、場所の手配からプレゼンの準備まで「そつ」なく実施する。
またサマーワに関係 する安全情報を入手した際、日本語訳を実施させているが、バグダッドに来た当初に比べればその精度は雲泥の差であり、最近では、ほとんど私が修正しなくともよい程度に翻訳するようになっている。
先日、1次空自バグダッド連絡班受入れの際、コンテナ等の荷物を運ぶためコアリション・オペレーション部からピッ クアップ・トラックを借用する予約をしていた。
ところが当日になって、コアリションの誰かが無断使用していたため借用できなかった。
疲れている1次空自連絡班の方々に申し訳ないが、折り返し輸送をする必要があると思いながら軍用バグダッド空港に出迎えに行った。
すると●●●がポ ンコツ・ピック・アップ・トラックをどこからか調達してきてパグダッド空港までやってきた。
入手先を聞いてみると、3軒となりの米軍コンテナで事務仕事をしている米陸軍伍長(ほとんど面識はない)からこのポンコツ車を借用してきたとのこと。
お陰で折り返し輸送することなく円滑に出迎えができて●●●の株価は急上昇していた(過去形)。
帰国を間近に控え、多国籍軍のC-1からBIO(経歴表)提出の依頼があり、そのフォーマットが送られてきた。
ところが、それを確認しながら、なにやら不機嫌そうにブッブツ文句を言っている。
何があったのかを尋ねると、「C-1の野郎ども私を韓国人と勘違いしていて“金さんの次”だなんて言っているんですよ。」とくちばしを尖らせている。
よく見ると「Next of kin」(配偶者・最近親者)を記入する欄に文句をつけているようだ。
辞書を調べるように言うと、ようやく 合点がいったようで、恥ずかしかったのか苦笑いしている。
まだまだ修行不足であった。
出典:https://www.asahicom.jp/news/esi/ichikijiatesi/iraq-nippo-list/20180416/370/060710.pdf
●●●と伏せ字になってしまっていますが、この人めちゃくちゃ面白い人ですよね。
そして、この日報を書いている人は、こんな落ちまでしっかり書いてくれて絶対に読者を意識して書いてますよね。
ブロガーかとwwwwwwww
でもなんかいいですね、本当に映画とかのワンシーンのような、いい話です。
バグダッド日誌(3月14日)
次はこちら。
自衛官がバグダッドでいつでも戦闘状態に入れるように準備していることが書かれていますが、日本独自の作戦の名前が笑っちゃいけないんですが笑えます。
バグダッド日誌(3月14日)
・ハードターゲットとハードタッチ
テロリスト等反多国籍軍勢力からの攻撃を受けないため、如何に「自分たちが精鋭部隊であるか(テロリストにとって ハード・ターゲットであるか)」を示し、テロリスト等に偉容を見せつけ攻撃しようとする意志を未然に予防している。
またその偉容を示す手段として、何かあればすぐに反撃する動作をとり続ける方法(ハード・タッチ)を米軍はとり続けている。
「パレス(多国籍軍司令部)前の駐車場で、キャンプ周辺を警備するコンボイがよく出発前のミッション・ブリーフィンを実施している。
地図で任務を確認し合い、キャリバー50の動作点検・通信機・水・スペアタイヤ等を確認して、整斉と 準備している。
これらの洗練された一連の動作は、テロリスト等をしてハード・ターゲットと思わせるに十分だと感じる。
日本隊も一連の動作は決して引けを取らず、更に整頓・服装・態度等は日本隊の方が一枚上手のようにも感じる。
「ハード・タッチ」の象徴としてコンボイの最後尾車両には、「Danger! Stay back!」と書かれた看板が英語・アラビア 語で大きく表示して、コンボイの後ろに近づいた車両に「今にも射撃しますよ。」と言わんばかりの態度を示している。
コンボイによっては「300m以内の後方に近づくな!」(見えないと思うが..)と表示している。
先日BIAP(バグダッドイ ンターナショナル・エア・ポート・キャンプヴィクトリーに隣接)へ経由者の支援に行った時、偶然米軍警備コンボイに遺遇した。
クラクションを鳴らし、コンボイの中に巻き込まれようものなら「撃たれるのではないか?」との恐怖心さえ抱いた。
仲間の我々から見ても少しやりすぎのようにも感じるが、「任務・場所・敵の脅威度」により仕方のないことだとも感じる。
日本隊の実施しているSU方式(スパー・ウグイス嬢:市民に左手を振りながらも、右手はいつでも対応できるように準備)による「ソフト・タッチ」とは大きな違いである。
「ハード・ターゲット」と認識させるには色々な考え方がある。
1%のテロリストを対象に「ハード・タッチ」を優先させるのか、99%の善良な市民を対象に「ソフト・タッチ」を優先させるかは、その「国柄・任務・考え方」に大きく左右されている。
出典:https://www.asahicom.jp/news/esi/ichikijiatesi/iraq-nippo-list/20180416/370/060314.pdf
SU方式が「スパー・ウグイス嬢」の略というのが、なんなんでしょうね(笑)
誰が名付けたのか知りませんが、ちょっと笑ってしまいますよね。
バグダッド日誌(5月29日)
バグダッド日誌(5月29日)
・慣れたこと、慣れてはいけないこと
ここバグダッドに到着して4ヶ月以上が既に過ぎた。
こちらの生活にも随分と慣れ、充実した毎日を送っている。
到着当初は、言葉の壁も厚く特に英・豪LOの話す英語がほとんど聞き取れず、またコアリション各国の英語にもなかなか対応できなかったが、今はかなりコミュニケーションがとれるようになったと感じている。
日常生活も完全に慣れた。
食事については、時には日本食が恋しくなることもあるが、食堂で三食を美味しく食べている。
また故障のため時折水しかでないシャワー(時には水すらでない)にも慣れ、全く不足は感じない。
生活のリズムも完全に掴み、コンテナ内で体力練成をしたり、多国籍軍の仲間を日本コンテナに招待したりと、色々新しいことに取り組む余裕も出来てきた。
しかし、安全に関することは全く慣れることなく細心注意を注いでいる。
食堂に行く際も道路の端を歩き、待避壕の場所が移動していないかを確認している。
また爆発音等がした時はすぐに身を屈め安全の確保に留意している。
昨日もキャンプ・リバティ(日本隊の所在するキャンプ・ビクトリー北に隣接)に迫撃砲による攻撃があり、キャンプ上空を米軍攻撃ヘリコプターが警戒していた。
身の危険に関することは引き続き慣れることなく、日々新たな気持ちで準備に怠りはない。
出典:https://www.asahicom.jp/news/esi/ichikijiatesi/iraq-nippo-list/20180416/370/060529.pdf
ほのぼのしている日誌も多いですが、普段の活動はこんな風に緊張感あふれるものなのですね。
日本隊の近くにも迫撃砲での攻撃があったと書かれています。